実は自己破産はそこまで珍しいものでもない

自己破産は、借金が積もり積もって首が回らなくなるというイメージのおかげでかなりマイナスな印象があります。
日々の生活を普通に送ることができる人にとっては、自己破産というものは何か遠い世界のような気がします。

しかしながら、自己破産をしている人というのは意外と多いものなのです。
自己破産者数のピーク時は平成14年ですが、このときでその数は約25万人。
それから年々数は減り続けていますが、それでも平成28年は約6万人の方が自己破産を行いました。

年間6万人とはどれくらいの数字なのでしょうか。
厚生労働省は2016年10月に、平成27年度の脳梗塞の死亡者は6万4523人というデータを発表しました。
自己破産者数は、年間の脳梗塞死亡者数とあまり変わらないのです。
自己破産というものがより近く感じられるようになったでしょうか。

自己破産すると手元に残る財産はあるの?

自己破産は、借金は帳消しになるものの、財産となるものは差し押さえられて債権者に配当されます。
返せる物は少しでも返してから借金を帳消しにするのです。
しかしながら、自己破産は破産者の経済的再生を援助する制度なので、その全てを取り上げられるわけではありません。

まず、原則差し押さえが決められている財産についてです。
差し押さえの対象となるのは、換金価値のある財産に限られます。
以下のものは差し押さえの対象になります。

・住宅
・車
・貴金属類
・解約手続きによって払い戻しが可能な保険
・貯金
・現金
これらの財産、差し押さえられて債権者に配当されます。
このため、差し押さえが行われた後は、一時的に生活が苦しくなるのは覚悟しておくべきでしょう。

ただ、差し押さえられずに残されるものも多くあります。
家具や衣類など生活必需品などです。
これらは換金価値がないため、破産者の手元に残ります。

また、破産者の最低限度の生活の保証のために、制限内ではありますが、預金と現金もある程度は残すことができます。
具体的には、99万円以下の現金、20万円未満の貯金です。

その他自己破産によって受ける制限について

ただ、借金を帳消しにするといっても、やはりいいことずくめではありません。
財産の差し押さえ以外にも様々な制限があることも知っておくべきでしょう。
以下のような制限があります。

・個人信用情報機関(ブラックリスト)に載る
・新規のクレジットカードの発行が難しくなる
・官報に載る
・就ける仕事に制限がかかる
順に見ていきます。

自己破産をすると、ブラックリストに名前が記載されます。
これにより、自己破産後は金融機関でお金を借りることはほとんどできなくなります。
ただ、いつまでも名前が記載されるわけではありません。
信用情報機関にもよりますが、名前が載る期間は5~10年です。

また、ブラックリストに載ることで、クレジットカードの発行も難しくなります。
しかしながら、一定以上の収入が保証されていればリストに載っていても発行できることはあります。

官報とは国が発行している機関誌です。
法律の制定や改正、民間人の裁判の記録などが載っています。
これは市販されていないので、一般人が見ることはあまりありません。
ただ、官報をチェックしている金融機関もあるので、あらたに融資を迫ってくる業者には要注意です。

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仕事に制限がかかると書きましたが、これは破産手続きを開始してから免責許可が下りるまでの間に限られます。
許可が下りてしまえばこの制限は消えます。