奨学金による自己破産が増えている

大学卒業するまで4年間に必要な費用は公立で約492万円、私立文系で約604万円、私立理系で約720万円と言われています。
全て自己負担で費用を賄うのでは大変ですが、そんな時に利用されているのが奨学金と呼ばれる制度です。

しかし奨学金を借りた後は返済することが必要なため、中には返済が困難になり自己破産に追い込まれるケースが見られました。
多額な奨学金による自己破産件数が増えたのは学費の値上がり、非正規雇用の増加、奨学金を貸している日本学生支援機構が回収に力を入れているなどが主な理由となっています。

奨学金の返済を延滞すると10%の延滞金が発生しますが、自己破産件数が増えたために5%へと引き下げされました。
さらに年収300万円以下の場合に利用できる返還猶予制度の期間を5年から10年へと延長しています。
しかし自己破産する若者はまだ多い現状です。

奨学金には人的保証と機関保証がある

奨学金を借りる時に必要なのが保証ですが、人的保証と機関保証と主に2種類あります。
このうち人的保証は連帯保証人と保証人となっており、連帯保証人は両親、保証人は4親等以内の親族がなるケースが多いです。

連帯保証人や保証人が見つからない時に便利なのが機関保証です。
機関保証では保証会社に保証料を支払することで保証して貰う仕組みになっています。
この時の保証料は奨学金から引かれるのが基本です。

人的保証の場合、奨学金の返済が困難になると連帯保証人に請求が来てしまいます。
連帯保証人に返済能力が無い場合、連帯保証人も一緒に自己破産に追い込まれることがありました。

問題は連帯保証人で終わる訳ではありません。
連帯保証人が返済できない場合は保証人である親族に請求が来てしまうのです。
機関保証であれば連帯保証人に迷惑をかけずに済みますが、奨学金を借りている若者の半数で人的保証を利用している状況です。

自己破産による影響

自己破産は連帯保証人や保証人への影響だけではありません。
その他にも様々な影響があるために注意が必要です。

一つはブラックリストに掲載され、5年から10年はクレジットやローンの利用が難しくなる点です。
自己破産すると信用情報機関が管理している信用情報に金融事故として登録されてしまいます。

二つは換価できる財産は処分される点です。
生活に必要な最小限の財産は残りますが、99万円超の現金や20万円超の預貯金の他、様々な財産を失ってしまいます。

三つは一部の職業や資格で制限される点です。
弁護士や司法書士、税理士、中小企業診断士、旅行業務取扱管理者、警備員など様々な職業や資格が対象になっています。
制限されるのは破産手続開始決定が下されてから免責許可の決定が下されるまでの数か月ですが、それまでの収入が途絶えかねません。

四つは国が発行する官報に住所や氏名が記載される点です。
官報から自己破産が知られてしまうことがありますが、一般の方は殆ど官報を見ません。

奨学金の支援を行う企業

自己破産した時の影響が大きいため、なるべく他の対策を取りたいところです。
最近では奨学金の支援を行う企業が増えてきており、奨学金を借りている若者中心に注目が集まっています。

優秀な人材を採用するため、奨学金の問題解決に貢献するために企業が支援するようになりました。
この支援は給与から差し引くのではなく、給与に上乗せする形になっており、支援によって生活が苦しくなる心配は少ないです。
上限無しで支援している企業もありますが、どの企業でも奨学金の支援を行っている訳ではありません。

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高校生等奨学給付金制度を利用する方法もある

最近では経済的な余裕が無い世帯向けに高校生等奨学給付金制度が設けられました。
給付金として支給する形になっており、奨学金のような返済は不要です。

多額な給付金ではありませんが、教育費に回せるようになります。
自治体で実施している制度のため、住んでいる自治体に問い合わせてみると良いでしょう。