相続放棄について
平穏な毎日を過ごしていても、ある日突然訪れる問題が身内の他界です。
死後のことをあらかじめ考えて、所有する財産の相続をきちんと考えている人はごくわずかだといえます。
突然の訃報とセットになっているのが遺産相続の問題です。
遺産相続を経験した方の中にはドロ沼のような醜い争いがあったと振り返る人も少なくありません。
そのような争いを避けるために、相続放棄という方法があります。
相続放棄とは遺産を相続する権利を持っている人が、その権利を辞退するとういう制度です。
遺産相続というと得をすると考える方も多いと思いますが、実際には違うのです。
土地や建物などの資産だけを相続することはできず、故人の借金も合わせて相続しなければいけないのです。
つまり、相続放棄をすれば資産も負債も一切相続しないということです。
もちろん、相続する権利を放棄するだけなので自身の借金には影響はしません。
自己破産開始前は相続放棄できる
借金の整理を考えていて、自己破産の計画をしていても自己破産開始前なら相続放棄はできます。
債権者にとってはお金を貸した相手の財産が増えるなら当然ながら好ましいことです。
なぜなら債務者に自己破産されたら分配される財産が多ければ多いほどメリットがあるからです。
しかし、相続した財産がプラスの分よりマイナスが多かったらどうでしょう。
債務者の借金がさらに増えてしまうと分配されるはずだった債権自体が目減りしてしまうのです。
自己破産開始中は相続放棄できない
法律上注意しなければいけないのは、自己破産開始中に相続放棄できないことです。
もし、自己破産開始中に相続することになったら前述の相続放棄は認められず限定承認したと見なされます。
限定承認とは相続によって得られた財産を上限とし、債務などがあればその上限を超えなくても良い制度です。
たとえば故人の財産として3000万円の家と借金3500万円を限定承認したとします。
通常の相続だと借金も全額相続しなければいけません。
しかし、限定承認だと財産の上限である3000万円が借金の総額となるのです。
なぜ自己破産開始中は限定承認したと見なされるのかというと、視点を変えてみると理解しやすいです。
莫大な財産を計画的に相続放棄などをされては債権者にとって不利益になってしまいます。
法の下の平等といい、債権者の権利というのもきちんと法律によって保護されているのです。
自己破産して免責を得られれば、借金は基本的にすべて無くなります。
人生をもう一度やりなおすチャンスを国から貰えるわけですから清算できるものはすべて終わらせましょう。