特定調停のデメリットは、以下のようなものがあります。
1.任意整理に比べて、手続きが煩雑であること
特定調停を申し立てるために必要なものは、申立書,関係権利者一覧表、住民票、戸籍謄本、給料明細や源泉徴収票などの所得を証明するもの、財産の状況を示す明細書、家計簿などです。
これら書類の準備だけでなく、債権者と話し合うために自らが簡易裁判所に出廷する必要があります。
特定調停を申し立てるためには、これらの煩雑な手続きはすべて自分で行う必要があります。
2.債権者からの取立行為が止まるまで時間がかかる場合があること
申し立てを行うには各種の書類等を作成・準備する必要があります。
債権者からの取り立てが止まるのは申し立てを終えてからとなるので、これらの書類の作成や準備、手続きに時間がかかると,それだけ債権者からの取り立てが止まるまで時間がかかることになります。
任意整理は弁護士の受任によって取り立てがすぐに止まるので、その点がデメリットと言えます。
3.過払い金の返還はできないこと
任意整理と違って、過払い金を返還してもらうための制度ではありません。
そのため、もしも過払い金が発生していて、それを返還してもらおうとするなら、別で過払い金返還請求訴訟を起こす必要があります。
この点で、返還される過払い金を踏まえて返済計画を立てられる任意整理に比べてデメリットと言えます。
4.調停が成立しない可能性があること
特定調停は、あくまでも債権者との話し合いの上での合意があって成り立ちます。
そのため、債権者との合意が得られなければ債務整理ができません。
この点、自己破産なら債権者との合意を必要としませんし、個人再生でも債権者数(あるいは債権額)の過半数以上から反対されない限り、債務整理の効果を債権者全員に及ぼすことができます。
5.債権者に強制執行されてしまう可能性があること
特定調停が成立すると、調停調書が作成されます。
これによって、債権者は調書通りに返済がされなかった場合に強制執行ができるようになります。
しっかりとした返済の計画を立てていなかった場合、債権者に容易に財産を差し押さえられてしまう可能性があります。
6.調停委員が債務整理の専門家でない可能性があること
調停委員が必ずしも債務整理の専門であるとは限りません。
そのため、双方の合意で成立した調停が後になって調査してみると債務者にとって不利益な内容だったということになりかねません。