借金返済が困難になった人の救済措置として、債務整理というものがあります。
債務整理の第一歩にあたるのが「任意整理」です。
任意整理では債務者の借金情報をすべて確認することから始まります。
借入と返済の記録を取り寄せ、利息制限法に基づいた金利を支払っているか調べます。
そこで、もし違法な金利を支払っていた場合には、過払い金として返還要求ができます。

発覚した過払い金は元金返済にあてて、さらに利息や延滞遅延損害料金の免除の交渉をし、その後の返済計画を練ります。

それでも返済できそうもない場合には「個人再生」の可能性を探ります。
これは、自宅はマイカーなどの資産を残しつつ、借金を5分の1まで減額して返済するという方法です。

しかし、中には、弁護士費用を負担する経済的な余裕がまったくないという場合もあるでしょう。
あるいは、自分の手で債務整理の手続きをしたいということもあるかもしれません。
そういう場合には、「特定調停」という手段があります。
これは、裁判所の調停員を間に挟んで、債権者が直接債権者と借金の減額などの交渉を行う方法です。
こちらであれば、費用は非常に安く済みます。

では、個人再生と特定調停の違いですが、前者は弁護士が担当する「裁判所判決」であるのに対し、後者は自分自身で行う「民事調停」という扱いになります。
そのため、債務者が債権者と和解にもちこめるかどうかが、大きな争点になります。
個人再生の場合は、民事再生法に基づく最低弁済額基準が適用されて、借金総額が確実に下げられることになります。
それに対し、特定調停では、消費者金融などの金融業者と、直接対決することになります。
もし債権者が減額を頑なに拒むケースでは、調停が成立しないこともあります。
裁判所の調停員は和解のために助言をしてくれはしますが、債権者に強硬手段をとることができません。
そのため、時間と労力を費やしたのに、結局、借金総額がほとんど変わらないということもあります。

その一方で、個人再生が収入がある人しか利用できないのに対し、特定調停であれば無職の人でも申し立てることが可能です。
今現在収入はないけれど、かといって自宅やマイカーだけは手放したくない場合には有効です。

個人再生も特定調停も、申し立てをすると厳しい取り立てがとまります。
弁護士に依頼しなくても、請求が止まるので安心です。

なお、どちらもブラックリストに5年間は名前が記載される部分は同じです。

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