究極の債務整理といわれる自己破産は、国が認めたすべての債務がゼロになるという唯一の債務整理方法です。
あまりのメリットの多さに、2度、3度と繰り返す人が多いため、免責決定から7年間は申請できないと決められているほどです。
もちろん、無条件で認められるわけではありませんし、一定のデメリットもあります。
それでは、自己破産するのなら、結婚前にしたほうが良いのでしょうか。
また、離婚した場合には慰謝料などについても免除されることになるのでしょうか。
まず、結婚前にしておいたほうが良いのかどうかについては、結論から言うと、前でも後でもどちらでもそれほど大きな違いはありません。
というのも、自己破産をする場合の最大のデメリットと考えられるブラックリストに掲載されるという問題については、その影響があるのは本人のみとなりますので、例え、配偶者であろうと子供であろうと影響が及ぶことはありません。
正直に話すかどうかは別としても、債務整理をしたという事実を知られることはまずあり得ないからです。
5~10年間は金融機関の審査に通ることが難しくなりますが、これについても、その間は借金しなければ問題はありませんし、要は、結婚生活の上で、しっかりとした収入さえあれば何の問題もないはずです。
それでは、離婚後の慰謝料についてはどうでしょう。
これも結論から言うと、慰謝料の責任義務から逃れることはできません。
実は、自己破産には、非免責債権と呼ばれるものがあり、読んで字のごとく免責されない債権のことですが、慰謝料はこれに含まれているのです。
これは、今後発生する支払いはもちろんのこと、滞納している部分があればそれも含まれます。
しかしながら、現実的には、逃れることができないとは言っても、相手方の支払い能力の問題があります。
つまり、払いたくても払えない状況も多いわけです。
いくら支払い義務があると言っても、相手方にその能力がなければ回収することもできませんし、強制執行しても意味がないということになりかねません。
このように、離婚後に自己破産しても慰謝料の支払い義務がなくなるわけではありませんが、相手方に支払い能力がなくなる場合には非常に難しい問題となります。
従って、今後の支払いについては、両者協議のうえで、ある程度の猶予を持たせるとか、減額するといった譲歩が必要になるケースも十分考慮する必要があります。
ただし、相手方に誠意が感じられないような場合には、個人での問題解決は難しいため、弁護士などの専門家に相談するのが良いでしょう。