多重債務の状態に陥ったり、失業など生活状況の変化によって毎月の借金返済が困難になってしまった場合には、債務整理の手続きを行う必要があります。
債務整理には個人再生や任意整理などの手続きがありますが、完全に借金が返済出来る目途が立たなくなってしまった場合には、法的に借金を免除してもらう手続きである『自己破産』の申立を行うことになります。
自己破産は住所地を管轄する地方裁判所が申立の場となります。
自己破産で同時廃止や管財事件にかかる期間は?
申立の際には『破産申立書(及び免責許可申立書)』と、住民票や資産証明書、所有する預貯金口座の写しや加入している生命保険等の証書および解約返戻金証明書、または退職金証明書など現時点における財産を証明する様々な書類を提出しなければなりません。
裁判所はこの提出された申立書と書類を基に破産の手続きを行いますが、ここで手続きの流れは『同時廃止』と『管財事件』の二つに分かれることになります。
破産申立時に殆ど財産を所有していない場合には、処分(換価)して債権者に分配するような資産が無いということで、破産宣告が行われると同時に破産手続きを終了し免責許可の手続きに移行することになります。
これが破産における『同時廃止』です。
同時廃止の場合には、裁判所に申立を行って特に問題が無ければ、1ヶ月から2ヶ月程度で免責許可が下りることになります。
この同時廃止に対して、自己破産申立時に財産を所有している場合には、裁判所によって破産管財人(主に弁護士が就任します)が選任される管財事件(少額管財事件)となります。
ここでいう財産とは、ある程度の金額以上の預貯金や不動産(相続人として権利を所有している不動産も含まれます)、生命保険の解約返戻金や車(ある程度の評価額がするもの)などはもちろんのこと、『現在退職した場合における退職金』も資産の一部と見做されます。
このように換価可能な財産がある場合には、破産管財人により処分が行われ、換価された後債権者に分配されます。
自己破産の免責許可手続き
この分配が終わった時点でようやく免責許可の手続きに移行するのです。
管財事件と判断された場合、同時廃止と比べて手続きが複雑となります。
また、費用の面でも大きく異なります。
管財事件で選任された管財人の報酬は、自己破産申立者が支払うことになるのです。
弁護士に対する費用ですので、10万円から20万円が必要となります。
つまり、この金銭を用意出来なければ、自己破産の手続きが進行しません。
費用が準備できない場合には、裁判所が積み立てを行わせることもあります。