過払い金請求は自己破産後も可能
自己破産を行った後で過払い金の存在が発覚したというケースは最近だとほとんど見られなくなっていますが、それでもゼロであるわけではないでしょう。
中には残念ながら破産手続きが完了してから返還してもらえる分が見つかったというケースもあるのですが、そうした場合であっても過払い金返還請求を出すことは可能です。
特にこうした事例は平成18年以前、法律的に過払い金の返還義務が発生することがまだ確実視されていなかった時に多く報告されており、平成18年以前だと貸金業社側も取引履歴の開示に応じなかったケースが少なからずあったために確認が出来ないまま破産の手続きに入ることがありました。
しかし現在では返還義務が生じることがもう確定していますから、過去に破産をしていたとしても取引履歴の開示請求を出して引き直し計算を行い、その結果請求できることが明らかになったのであれば返してもらうことが可能です。
過払い金の時効について
ただこれについては二つ問題点があり、まず一つ目が時効の成立についてです。
日本の法律では過払い金の消滅時効、つまり返してもらえなくなる日を最後の返済日から10年後と定めており、もし平成18年に破産手続きが完了していた場合には平成28年に時効を迎えることになります。
時効を迎えるとよほど特殊な事例でない限り返還の義務は消失しますから、まずはこの消滅時効が成立しているかどうかの確認が必要となるでしょう。
職権の乱用について
またもう一つ問題となるのが権利の乱用についてです。
そもそも自己破産という手続きは債権者の合意なくしてお金の貸し借りの関係を強制的に断ち切る手続きです。
これは債権者はまだ返してもらっていない債権を諦める他なかったということになるわけですが、しかし後日になって破産をした側が「返してもらえる利息があるから返してください」と言い出して、それが通ってしまったのであれば債権者の権利があまりにも無視されているという主張が出てきます。
加えて自己破産の際には配当として破産者の有している財産が債権者に分配されるはずであるため、もし過払い金があったとしても債権者である貸金業社が受け取っていた、それを黙っていたのは債務者側の権利の濫用だという主張もあるでしょう。
現在の裁判所の判断だと権利の濫用には該当しないとなっていますからそれほど大きな問題ではありませんが、こうした主張がくることは想定しておく必要があります。
まとめると自己破産後の過払い金請求は可能であるものの、いくつか問題となりそうな点はあります。
そのためもしこうしたことを望むのであれば、まずは弁護士に相談してアドバイスをもらうようにしましょう。