自己破産の破産管財人の仕事
裁判所が申立人が提出した申立書類の内容を審理し、破産法に基づく破産手続開始を決定すると、裁判所は必要に応じて破産管財人と呼ばれる者を選任します。
破産管財人は選任候補となっている弁護士の中から選ばれますが、受任した弁護士は破産手続開始後にいったい何をしているのでしょうか。
支払不能や債務超過の状態におちいった債務者が破産手続による債務整理を選択した場合は、日常生活や仕事の場などにおいて必要不可欠なものを除く大半の財産が破産財団に属することになり、換価処分の対象となりますが、実際に処分を行うためには破産財団に属する財産をすべて調べあげ、その後価値を減じないように財産を厳格に管理をすることが求められます。
本来、この作業は裁判所の職員が自ら行うべきものですが、職員は日々たくさんの業務を抱えている事情があり、作業にリソースを割く余裕はほとんどありません。
そこで、破産財団の調査や管理、換価、処分などを行う権限を外部の専門家に与えることを法律で認めることとなりました。
この外部の専門家が破産管財人です。
破産管財人は一連の破産手続において多くの権限を持ち、着任した時点で破産者は所有している財産の管理や処分を自由に行うことができなくなります。
法人が破産した場合は、経営権も選任された管財人に移ることになります。
一方で、破産者が訴訟を抱えていた場合は、破産手続が開始されれば破産者本人から訴訟が承継され、当事者として訴訟に関わらなければならなくなります。
また、債権者に対しては、債権者集会を開いて破産手続の進捗状況などを報告しなければなりません。
この債権者集会は1回で終了する場合もありますが、破産者がたくさんの財産を所有していれば、全ての処分が完了するまでには多くの時間がかかるため、複数回開催する必要がでてきます。
なお、債権者は、破産手続が開始された場合は、手続に加わらなければ債権の回収が不可能となります。
破産管財人が選任されないケース
なお、破産手続のケースの中には、破産管財人が選任されないケースも存在します。
該当するケースのほとんどは、破産者が換価可能な資産を殆ど所有しておらず、破産手続と免責手続を最後まで行えるだけのお金もない場合で、裁判所は破産手続開始後すぐに手続の廃止を決定し、免責手続へと移行します。
裁判所に自己破産を申し立てる人の大半はこのケースに該当しており、自己破産の際に管財人が選任されて通常の破産手続がすすめられていく事例は少ないのが現状です。