自己破産する前に免責について理解しよう
消費者金融や銀行などからの借金が重なり、いろいろと工面をしても返済のための支払いができなくなってしまったという場合には、裁判所に申し立てることによって、自己破産をすることが可能です。
もしも裁判所から認められた場合には、これまでの借金の返済の義務はなくなりますので、破綻してしまった生活を立て直し、もう一度やりなおすことができるのです。
しかし、実は一般に誤解されがちなのですが、借金の支払い義務がなくなるのは、自己破産の手続きが済んだことそのものではなくて、これに付随して裁判所から認められる、免責決定とよばれる法律上の決定を受けたことが根拠となっています。
したがって、いくら自己破産ができたとしても、免責が認められない場合には、本人にとってみればあまり意味がないということになります。
自己破産は資産隠しや嘘の報告だとNGに
そこで確認しておきたいのが、裁判所への申し立てをする際の書類のなかに、資産隠し、あるいは嘘の報告といった、裁判所の心証をそこなってしまうような内容が入っていないかどうかということです。
裁判所に提出する書類ですから、通常であれば、事実をありのままに、つつみかくさず記載するのが本来のあり方といえます。
しかし、かくしておきたいことがどうしてもあるために、つい嘘の記述を含めてしまうといったことは、人間ですからまったくないとはいいきれないものです。
免責NGでも審査に影響がでる
この場合、もしも裁判所にそのことがわかってしまうと、せっかく申し立てをしたとしても、免責決定が認められないということもあり得るのです。
その結果、借金の返済義務は相変わらず残ったままであるにもかかわらず、自己破産をしたという事実は、政府が発行している機関誌のようなものである官報に掲載されて公然のものとなってしまいますし、カードローンやクレジットカードの審査の際に金融機関が活用している信用情報機関にも事実関係が登録されてしまいますので、以後数年間は新しくカードローンなどを組むことがたいへんむずかしくなってしまいます。
こうした不利益をこうむってまで、果たして資産隠しや嘘の報告をするだけのメリットがあるかどうかといえば、当然ながら、かなり疑問といわざるを得ません。
記載しにくい事実がある場合であっても、法律の専門家である弁護士にいったん相談をするなどして、次善の策がないかどうかをたしかめてみるといった、慎重な姿勢で臨むということが、裁判所に対する手続きの際には、もっとも必要になることといえます。